当社の経営理念に掲げる「事業にかかわるすべてのひとの幸福」を実現するためには、会社の発展 ・ 成長が必要であり、そのためには何より従業員が幸せでなければならないことから、当社では、健康経営を経営上の重要課題と位置付け、従業員の健康の維持 ・ 増進に取り組んでいます。その取組の一環として、健康経営度調査へ回答を行っており、2026年には6年連続(7回目)の「ホワイト500」に認定されています。
今回は、健康経営戦略マップの作成と、健康管理システム活用、そして今後の産業保健業務の改善について総務人事部健康推進担当の奥山さんと木元さん、当社の「健康管理クラウドサービスHealthCare iris」開発責任者の中村さんにお話を伺います。
本日は、健康経営戦略マップの作成から健康管理システム活用、そして今後の産業保健業務の改善についてお話を伺います。奥山さんと木元さんは日頃から健康経営の推進と産業保健業務を担当されていますが、まずは健康経営戦略マップの取り組みからお聞かせください。
よろしくお願いします。当社では健康経営を推進するにあたり健康経営戦略マップを作成していましたが、経済産業省の健康経営ガイドブックが2025年に改訂されたことを受け、当社の健康経営戦略マップもアップデートしました。
健康経営戦略マップをアップデートする中で、特に意識したことは何でしょうか。
2025年版のガイドブックで示されている健康経営戦略マップでは「経営方針との接続」がより強く求められています。①経営理念や健康経営推進方針で定める「会社として目指す姿」やその数値目標であるKGIを明確にしたうえで、②当社の従業員が抱える健康課題を整理し、③それぞれの健康経営施策と経営課題とのつながりを視覚的に分かりやすくつなげる という3点を意識しました。
改めてアップデートした戦略マップを見ると、当社では特にメンタルヘルスケアに関する取り組みがKGIを達成するうえで重要になると考えています。
なるほど。メンタルヘルスケアの取り組みは、情報のつながりや運用の整備も含めて難易度が高い領域ですよね。戦略マップを更新してみて、具体的に見えてきたものはありますか。
あります。
実際に感じたのは、「必要な施策が明確になると、必要な基盤も見えてくる」ということです。
例えばメンタルヘルスケアを効果的に行うには、健診情報、長時間労働状況、面談履歴などを横断的に把握できる仕組みが必要になります。
健康経営戦略マップをアップデートしたことで、施策だけでなく、それを支える基盤の必要性もより明確になりました。
当社における健康経営を支える基盤はどのように整備されていますか。
特に、メンタルヘルスケアについては判断に必要な情報が多くありますので、当社では、施策の実行と改善を支える基盤として、自社開発の健康管理クラウドサービスを積極的に活用しています。
健康管理クラウドサービスでは
・健診データ
・面談記録
・労働時間情報
などを一括管理しています。
システム活用の効果はありましたか。
はい。
システム導入前に比べて、必要な情報に辿りつきやすくなりました。面談やフォローの場面では、確認に時間がかかるだけで対応が遅れます。情報が整理され、迷わず見られる状態にすることが、支援の質に直結します。
効果測定は、定例でまとめて行うのではなく、取り組みの都度実施されていると伺いました。
はい。施策ごとに適切なタイミングが異なるため、当社では都度確認しています。
施策を実施して終わりではなく、
・ストレスチェックの高ストレス者率
・面談件数
・健診結果
・エンゲージメント指標
などを確認しながら評価しています。
継続的なPDCAということですね。
そうですね。ただ現在でも課題はあります。
それは、「次に何ができるか」を増やすことです。
データを見て結果を評価することはできていますが、結果を受けて「次に何ができるか」を見つけるためのPDCAをもっと強化できないかというのが今後のテーマだと思っています。判断材料を集めやすくし、改善の選択肢を増やしていきたいと考えています。
分析結果を次の施策につなげる部分ですね。私たちとしても、「次のアクションを考えるために必要な情報へ、いかにスムーズにたどり着けるか」という視点で、継続的に改善していくことが重要だと考えています。

はい。課題の発見から改善策の検討までを、もっとスムーズにできる余地があると思います。
システムをより良く活用するために、どんなことをされているのでしょうか?
カスタマーサポートに「システムをどう使いやすく・効果的に使っていけるか」、そのために「どう改修・アップデートしていけばよいか」を相談しています。手厚いサポート体制で、使いづらさや業務上の課題を持ち寄り、どこから改善するべきかを一緒に検討しています。「システムをどう使いやすく・効果的に使っていけるか」、そのために「どう改修・アップデートしていけばよいか」を相談できるので、大変心強く感じています。
開発担当としても、要望をそのまま機能に落とすのではなく、「誰が」「どの場面で」「何に困っているか」を分解して整理するようにしています。困りごとが具体的になるほど、改善案も具体的に提示できるようになります。
優先順位はどのように決めていますか。
基本は「判断の質」や「フォローの速さ」に影響するものからです。例えば、面談の場で必要情報が散らばっていると、確認に時間がかかり、対応が遅れる可能性がある。逆に、必要情報が整理されていれば、面談の質も、その後の連携も変わります。こうした“滞り”を減らす観点で議論します。
詳しく教えてください。
以前は必要な情報が複数画面に分散していました。健康診断結果、就業状況、過去の面談情報などを見るために、いくつもの画面を行き来していました。
つまり、Before:情報が散らばり、「探す」時間が発生していた状態です。
改善の方針はどのように決めましたか。
まず、面談の流れを分解しました。
この流れに対して、「面談で必ず見る情報」「あると判断が早い情報」「なくても支障が少ない情報」を整理し、画面の情報設計を見直しました。
また、実際に利用する産業医の意見も伺いながら、面談業務に沿った画面構成を検討しました。
システム側は、その内容を踏まえて、表示のまとまりを設計します。ポイントは“情報量を増やす”ではなく、“迷いなく辿りつける”ことです。不要なクリックや画面遷移が発生している箇所は、改善の効果が出やすい部分でもあります。
その結果、After:必要情報が見やすくまとまり、不要な手間を削減できたと感じています。
面談で参照頻度が高い情報が見やすくまとまり、探す時間が減りました。例えば、直近の状況、過去の経緯、フォロー状況などを一つの画面内で把握できるようにしています。
結果として、面談準備からフォローまでの流れがスムーズになり、必要な支援につなげるまでのスピードも向上しました。産業医も使いやすくなったと喜んでいました。
派手な機能追加ではありませんが、こうした改善は継続利用や業務品質に効いてきます。「使うたびに迷う」「毎回同じ確認に時間がかかる」といった小さな困り事や遠回りを減らすことが、結果的に健康経営のPDCAのスピードを上げます。
今回の改善から得られた学びを教えてください。
今回改めて感じたのは、「打ち手を考える前に、判断材料と導線を整えることが重要だ」ということです。面談のようにスピードが求められる場面では特に、情報が整っているだけで対応の質が変わります。
また、改善の議論を「画面が見づらい」で終わらせず、「どの場面で、何の判断をするために、どの情報が必要か」といったように具体的な使用状況を開発担当者に伝えながら相談することで、具体的な提案をいただけるため、改修の優先順位も付けやすくなりました。
プロダクト改善は、利用シーンの解像度が上がるほど効果が出ます。健康経営のPDCAを支えるシステムとして、今後も“判断に効く改善”を積み上げたいと思います。
今後は健康管理システムにどのような期待がありますか。
私たちの課題である「次に何ができるか」を見つけるPDCAを強化するためにも、施策立案につながる支援機能には期待しています。集計の負荷を下げ、背景情報を取りにいき、必要な支援につなげる。改善の選択肢を増やし、優先順位を判断できる状態に近づけたいです。
今後は、アンケート機能や社内向けチャット機能に加え、AIを活用した集計やグラフ作成などの機能拡充も予定しています。
今後のアップデートとしては、
「集計・分析・導線をより自然につなぐ」
ことをテーマに機能改善を進めたいと考えています。
最後に、健康経営に取り組む企業の皆さまへメッセージをお願いします。
健康経営は一度仕組みを作れば終わりではありません。
大切なのは、
という改善のサイクルを回し続けることです。
そのためにも、データを活用しながら継続的にPDCAを回していくことが重要だと思います。
本日のお話を通じて、健康管理システムは単なる管理ツールではなく、健康経営のPDCAを支える基盤であることを改めて実感しました。
健康経営を「続く改善」にするために、これからも現場の皆さまとともに改善を積み重ねていきたいと思います。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
ご協力 アイテック阪急阪神 中村さん 木元さん